機能性表示食品として低分子化ライチポリフェノールを含有する製品が開発されました。機能性食品原料として特に有名なのがオリゴノールです。ライチに由来している製品として注目されていますが、どのような特徴を持つ機能性表示食品なのでしょうか。
この記事では低分子化ライチポリフェノールの性質に着目して食品としての特徴を解説します。
オリゴノールの機能性表示
機能性表示食品のオリゴノールには低分子化ライチポリフェノールが機能性がある成分として含まれています。オリゴノールは運動で生じる身体的な疲労感を軽減する機能があることが報告されている食品として届け出をしているのが特徴です。
しかし、低分子化ライチポリフェノールという名前を見てもライチ由来のポリフェノールだというくらいしかわからないでしょう。実は低分子化されているポリフェノールという点が重要なポイントです。オリゴノールのような低分子化ライチポリフェノールを使用している機能性食品を摂取すべきかどうかを判断する上で肝心になるので、まずは低分子化ライチポリフェノールについて詳しく見ていきましょう。
低分子化ライチポリフェノールとは
低分子化ライチポリフェノールとはライチにもともと含まれているポリフェノールを部分的に分解して低分子化したものです。一般的にポリフェノールはたくさんのフェノール性物質が結合して作られているのが特徴で、「ポリ」は「多数の」という意味があります。
フェノール性物質が無数に連なると分子のサイズも大きくなるので、一般的には高分子に分類される物質になっています。しかし、高分子の物質は人の消化管では吸収されにくいことから、ポリフェノールは食べてもあまり体内に入りません。
摂取した成分が体内で作用をするには吸収する必要があるため、吸収性を上げるのがポリフェノールの作用を高める上で重要なポイントです。低分子化ライチポリフェノールは低分子にすることでライチ由来のポリフェノールの吸収性を高めています。
ライチ由来のフェノール性物質として中心的なのがプロアントシアニジンです。低分子化ライチポリフェノールではプロアントシアニジンとそのオリゴマーが豊富に含まれているのが特徴で、主に単量体から三量体が成分になっています。
低分子化の処理によって人の消化管でも吸収性が高まり、体内に入り込んでいって様々な作用を示すようになったのです。プロアントシアニジンにも正確に言えばプロシアニジンA1、プロシアニジンA2、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどの様々なフェノール性物質の混合物です。
それぞれが体内で色々な部位に行き渡り、独自の作用を示します。その総合的な結果として、運動による疲労感の軽減をもたらす作用が実験的に示されています。
低分子化ライチポリフェノールの機能性
低分子化ライチポリフェノールの機能性は運動による疲労感の軽減に関わるものとして届出が出されていますが、実際には試験研究の結果としては他にも様々な機能性があることが示唆されています。低分子化ライチポリフェノールのオリゴノールを開発した会社の開発室では機能に関する論文が発表していて、2008年の日本補完代替医療学会誌で公開されています。
つまり、機能性表示食品の表示内容として認められているのは疲労感に関わる内容だけですが、実際には他にも期待できる作用があるのです。この論文では低分子化ライチポリフェノールの組成なども詳しく述べていますが、機能性についても血流改善機能、抗疲労作用、内臓脂肪低減作用、美容効果という点から研究成果をまとめています。
端的に言えば、この四つの観点からは作用を期待できる結果が得られています。この他にもオリゴノールに関わる文献が次々に公開されていて、作用の科学的根拠となるデータが蓄積されてきているのが現状です。その一つとして抗疲労作用をピックアップし、機能性表示食品としての届出をしたのです。
抗疲労作用が注目された背景
低分子化ライチポリフェノールには血流改善作用や内臓脂肪低減作用、美容効果も見込める実験結果があったにもかかわらず、なぜ抗疲労作用が注目されたのかが気になる人もいるでしょう。これは端的に言えばマーケティング戦略によって決まっています。
運動による疲労感の軽減は運動不足の解消につながると同時に、アスリートなどの激しい運動に取り組んでいる人にとって大きな魅力でしょう。しかし、競合他社の製品を調査してみると、運動による疲労感を軽減することが実験的に示されている成分を使用している製品は決して多くありません。
そのため、機能性表示食品として機能性を示して販売できればシェアを広げられると考えるのが妥当でしょう。血流改善作用や内臓脂肪低減作用についても市場のニーズはあります。
冷え性の改善などの目的で血流改善を図りたい、肥満の防止や解消のために内臓脂肪を減らしたいという希望を持っている人は増えているのも確かです。
しかし、競合する成分がいくつもあり、販売されている製品もたくさんあります。そこで新たに市場開拓をしようとしてもあまり容易ではないと考えられるでしょう。そのため、製品のシェアを広げる目的では抗疲労作用が注目されたと言えます。
ただ、市場の様々なニーズに応えられる可能性があるという点での情報発信をすれば、興味を持って論文を読んだ消費者が手に取ってくれるでしょう。そのため、開発した会社も機能性に関するデータを公表しているのです。
低分子化ライチポリフェノールはサプリメント化されて販売中
このように低分子化ライチポリフェノールには魅力がありますが、実験的なデータに基づくと推奨される摂取量は決して少なくありません。100mgから200mgが1日当たりの摂取量として推奨されています。この量を摂取するのはサプリメントが容易という判断で、製品としてはサプリメントでの販売が行われています。
機能性表示食品として届出をする以前から健康食品として販売が始まっていたことからスムーズに市場開拓に成功した製品です。
魅力的な作用が報告されている低分子化ライチポリフェノール
低分子化ライチポリフェノールはもともと吸収性が良くないポリフェノールを低分子化することで体内に入りやすくしているのが特徴です。プロアントシアニジンによる作用で運動による疲労感を軽減することが科学的根拠を持って示されています。
他にも魅力的な作用があることは論文でも報告されているので、期待するような作用があるかどうかをよく見て摂取するかどうかを決めましょう。